ここは、平和だ。
そして、退屈だ。
人は誰しも夢のような世界に憧れる。
それは皆がここは退屈だと思っている何よりの証拠だ。
しかし、夢のような世界は夢のようでしかない。
そんなことは誰でもわかっている。
だから、本当にどうでもいいような話でさえも、人を魅了する。
しかし、どうでもいいような話はどうでもいい話でしかない。
あとには何も残らない。
結局、ここは、何も、無い。
そう思っていた。昨日までは…
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プロローグ - (1)
「あ、牛乳無くなっちゃた。駿。ちょっと牛乳買ってきてくれない?」
母が何か言っている。
しかし、こういうときは返事をしてはいけない。
いちど、買ってきてしまうとその家ではその人に牛乳を買いに行かすことが習慣となってしまう。
そういうわけには、いかない。
「おつりはあげるから」
………
いつのまにか、俺は家を出ていた。
300円ももらった。179円の牛乳にしておけば121円も頂ける。
でも、面倒だったので、近くのコンビニで買うことにした。
多分200円と少しくらいだろう。80円は得する。
コンビニに到着。
最近はどこにでもコンビニがあってなんか非常に楽だ。
歩いて10分もかからないで生活に必要なものが大体揃う。
そんなことを考えながら、店内に入ろうとドアに触れた時だった。
「ピカッッ!!」
突然わけのわからない光が俺を襲った。
そして、何事かと思い、目を開けてみたものの、その視界先程とはまるで違うものであった。
「なんだ…これは…」
何も理解することができなかった。
恐怖は感じたものの、それよりも何か心が弾むのを感じた。
俺の人生を変える「何か」が起こるかもしれない。と。
…突然どこからともなく声が響いた。
「…汝、その名を何という…」
「や…矢崎 駿、だ…」
俺は迷うことなく答えた。
「矢崎君、か。君に少し話したいことがある。」
「ちょっと待ってくれ、あんたは誰だ。こっちは名乗ったんだ。そっちも自己紹介のひとつでもしたらどうだ?姿を表わしたらどうだ?」
「ふむ、確かにそのとおりだ。しかし、自己紹介しようにも我には名前が無い。
まあ、敢えていうならば君達のいう「神様」に近い存在とでもしておこうか」
「か、神様!?」
「まあ、そう、神。だ。」
「で、その神様が俺程度の人間に話したいことって何なんだ!?」
「そう、話したいことだ。しかし、この話は君にはとても恐ろしい話かもしれない。
しかし、君にも権利がある。
もし、恐いのは嫌だと感じ、この話を聞きたくないのであれば、いますぐ帰ってもかまわない。
もちろん、ここに残って話を聞いていくのもいいだろう。
ただし、この件はその問題の特性上、話を聞いたうえでやっぱりやめるということはできない。
話を聞いてしまったら、君は我々の手先として働くことが強制される。
さあ、どうする、話を聞いていくか、それともここから帰るのか。」
なにを言っているのかよくわからない。
しかし、おそらくここで帰ってしまってはまた退屈な毎日が続くだろうことは容易に想像できる
俺の答えは、決まっていた

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